1949年(昭和24年)創業。荻窪ラーメンの老舗で東京を代表する名店です。もともとは荻窪の住宅地にある春木家本店がラーメン専門店として出していたのがこの春木屋ですが、現在は完全に別の経営のようです。昔から変わらぬ味を提供していると思われがちですが、時代の流れに合わせて少しずつ味を変え、今なお進化し続けているというのだから驚きです。
スープの表面には油の膜が張り熱々。煮干しの効いたスープですが、一般的な煮干し系と比べると煮干しが突出しておらず、それでいて出汁にしっかりと厚みがあります。昆布もその要因の1つだと思いますが、全体的に一体感のある旨味にまとまっていますね。一体感をより生み出しているのは醤油ダレかな。強すぎず弱すぎず非常にバランスが良いですね。中太の縮れ麺は4種類もの小麦粉をその日の天候や湿度によってブレンドし、1つ1つ丁寧に手もみをしたものです。適度な固さと食感があり存在感を発揮しています。
味付玉子はラーメンとは別に提供されます。個人的には中華そばに乗せてもらっても良かったけど、スープの味に変化が出ることを嫌うためか、別皿で注文されることが多くてこのスタイルになったのだろうか。ゼリー状の半熟加減。少し甘めの醤油ダレの味が染みていて美味しいです。
圧巻の完成度。ただ単にあっさりしたラーメンに映ってしまいそうでもあるし、それどころか古さすら感じられなくもないが、何という分厚いスープだろう。それでいて押し付けがましくなく懐の深さを感じる味。単なる煮干しラーメンではないのは言うまでもないけど、煮干し系の他店とは明らかにレベルが違いすぎる。スープも麺もこれだけ主張が強いのに上手くまとまっているんですよね。春木屋理論で言うと、変わらないために変わり続けるのだろうけど、変わらないどころか毎回驚かされていますよ。
醤油や胡麻油の風味が主張しながらも春木屋らしく和風出汁の分厚さが安定感を与えています。甘味、辛味、酸味のバランスの良さもありますが、大勝軒や丸長などとも異なるオリジナリティーを感じます。ただもっとも異なるのはやはり麺ですね。手揉みを加えた低加水の自家製中太縮れ麺はつけ麺としても存在感抜群。それだけにつけ汁との絡みの部分だけが少し気になるかな。つけ汁には短冊切りのチャーシュー、メンマが入っています。